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2011年10月11日火曜日

アイアイって何?

 歌に歌われるほどの動物は、そんな多くはない。もっとも「迷子の迷子の子猫さん」、「森のくまさん」、「ぞうさん、ぞうさん」、「月の砂漠のラクダ」などなどをあげてしまえば、動物の歌は多いかもしれないが、ともかく「おさるさんだよ」のアイアイの歌は名高い。しかし、それはサル一般の歌であって、「アイアイ」は掛け声だと思っている人のほうが多いかもしれない。

 そこで、アイアイって何?という疑問は当然である。簡単に説明するなら、これはサルの仲間であり、その起原が6千万年前に遡る非常に古いタイプのサルであり、マダガスカルにしかいない、と言うしかない。その上、針金のように細く長い中指、リスのような歯、大きな耳という不思議な特徴を持っている。もっとも、保育園の子どもたちにアイアイの写真を見せたところ、その太い尾が興味を引いたので、それも重要な特徴かもしれない。
 アイアイの毛は夜の闇にまぎれるように全身真っ黒であり、その体はネコより少し大きな程度だが、尾は長く太い。その尾を広げて木々の上を飛び移る。食べ物は川辺の大木ラミーの木の大きな果実の堅い種子の中身であり、ときどきは木のうろにすむ昆虫の幼虫を掘り出して食べ、花の蜜をなめる。蜂蜜は大好きで、生の卵も食べる高カロリー食者である。
 ただひとつの種でひとつの科をなす動物分類学上の奇跡であり、他に類例のないサルである。しかも、ほとんど絶滅の縁にある。
 上野動物園にマダガスカルから送ってもらって、ここでは少し増えているけれど、大河の一滴であり、マダガスカル本土の森は年々焼かれて焦げ縮んでおり、アイアイの住む森も失われている。消え失せようとしているアイアイをなんとか保護しようと、日本アイアイ・ファンドはマダガスカル北西部にアンジアマンギラーナ監視森林(1348十ヘクタール)を設置し(2001年)、その森の保護管理にあたっている。大方の御支援をお願いする次第です。

日本アイアイ・ファンド 代表 島 泰三